昨今のシーザー事情


私が研究を開始した頃は、シーザー後進国であった日本も、大きく状況が変化しつつある。黒船襲来といったところか。

シーザーサラダをサーブする店は着実に増加しており、明らかに知名度も上昇しつつある。いまだに誤ったドレッシングやレシピを使う店もあるが、本物(に近い)味わいを得られることは格段に多くなった(もっとも、レシピに関しては本国アメリカでも混乱があり、日本だけの特殊事情ではない。考案者の名前を関したレシピにいろいろなバージョンがあるというのは、珍しいことではあるのだが)。日本で店舗を増やしてきたウェンディーズでもシーザーサラダを出しているのである。ちなみに、本家のウェンディーズではシーザーチキンサラダをピタに巻いたサンドがあり、野菜が足りなくなるとこれを食っていた。アメリカのテレビCMで、創業者のおじちゃん(Dave Thomas、要するにWendyのとうちゃん)が「わが社のすばらしいシーザーピタをみんなに広めてこい」と従業員に訓示しているのを見たことがあるなあ。

市販の日本製ドレッシングも、私の知る限り5本以上存在し、ついにごく普通のスーパーで見かけることすら経験した。ロメインレタスを栽培する農家もあり、運がよければこれもスーパーで手に入るのである。

あとは、本場のテーブルサイド実演を行なうレストランが増えることが待たれるといったところだろうか。

不安があるとすれば、生卵のサルモネラ汚染が、日本でも話題になり始めたこと。ただ、日本においては生卵を食する習慣がかなりポピュラーであるため、規制というよりもむしろ問題解決の方に力が注がれるであろうから、深刻なことにはならないと思われる。

私の押さえている最新の情報では、アメリカでは生卵の問題に加えて、これも不可欠のガーリックの細菌汚染が次の問題になっているらしい。ガーリックオイルを作るために生で入れるからか。やれやれ、生食できる食材は、全て槍玉に上がるかもしれんな。